ライドシェアの未来とその影響を見極める

最近良く話題になる事のひとつにライドシェアの問題があります。世界を知っている識者たちの多くはライドシェア解禁を唱えている様ですね。

アメリカでは、イギリスでは、マレーシアでは、ライドシェアはとても安くて便利なのに日本人はそれを知らないのです。一刻も早くライドシェアを解禁するべきです、などと言う意見が多い様です。

流石に世界を知っている識者たちの言う事は説得力が有ります。しかしながら実は僕はライドシェア解禁には反対なのです。

僕は20代前半の頃(今から30年ほど前)タクシードライバーをしていた時期があります。 東京23区＋武三地区(武蔵野市と三鷹市)のエリアでやってました。 タクシーには営業エリアが有り、何故か東京23区と武三地区がひとつのエリアになっています。

ですので僕は日本全国の事はわかりません。過疎地などの本当にタクシーがいないエリアならば必要なのかも知れません。

しかし東京エリアの事だけで言えばライドシェアには反対です。 ライドシェア解禁を言う人たちは、ライドシェアを解禁すれば良い事尽くめである、という様な事を言いますが、確かにお客様は便利になるし、もしかしたら料金も多少は安くなるかも知れません。

しかしタクシードライバーの収入は確実に下がります。これは当然の事で、営業車の台数が増えるのだから、一台あたりの売上は下がります。 タクシー料金は確かに高いです。

僕もよくタクシーを利用するので、お客様の立場としてはその気持ちはわかります。 しかしタクシードライバーの立場としては、こんなものだし出来ればもう少し、特に短距離の料金はもう少し高く貰えたらなぁ、などと今でもタクシードライバーをやっているとしたら思うと思います。

実際タクシードライバーの年収は平均年収よりも100万円以上安いのです。それでも、この際だからタクシードライバーには泣いてもらって、お客様の利便性だけを考えてライドシェアを解禁しましょう、と言うのなら反対ですが、理屈はわかります。

ただライドシェア解禁に賛成の人たちは、何故かその事は言いません。まるでライドシェアを解禁すればみんなハッピーみたいな事を言います。

ライドシェアを解禁すればむしろタクシードライバーの収入は上がります、などと、もし言う人がいれば、それは嘘です。もしくはタクシードライバーの事を何もわかっていない人です。

タクシーが捕まりにくい、と言う人がいます。それも当然で飲食店でも電車でもタクシーでも忙しい時間帯は有ります。

常に捕まえやすいという事は、常にタクシーが余っているという事です。 12時〜13時のランチタイムにレストランに行って混んでいて座れない！キッチンカーを増やせ！と言っている様なものです。

13時以降はガラガラなのにランチタイムに混んでいるからと言ってキッチンカーをを増やされたらレストランは商売上がったりですよね。

タクシーも同じです。私たちは常に駅前にタクシーがつけ待ちをしているのを知っているはずです。タクシーが捕まりにくい時間は１日の中のほんの1,2時間です。

それですら許さない、という事は常にタクシーを余らせろ、と言っているのと同じことです。 タクシー利権の事を言う人もいます。これも誰の既得権益なのか？タクシードライバーの年収は平均年収よりも100万円以上安く、タクシー会社が大儲けしている、などと言う話は聞いた事が有りません。

もう何年かすれば自動運転の時代になるのでしょうから、その時にはタクシードライバーもライドシェアも終わります。それまでの短い間タクシードライバーを守ってやりたい、という気持ちも有ります。

でも、どちらにしても、自動運転開始までの短い期間です。世界を知っていて、タクシーの事を知らない識者たちの言っている事が正しいのかどうか、はっきり白黒つけてやりたい、という気もしないでも無いです。

日本全国の事を考えれば、ライドシェア解禁は正しいのだと思います。しかし23区＋武三地区エリアの事だけ見れば、お客様としては営業車の台数が増えるので、少しは便利になるのでしょう。

料金はほとんど安くはなりません。ライドシェアの運転手としても、これ以上安い料金では割りが合わないのです。そしてタクシードライバーの収入はもちろん下がります。

世界を知る識者の方たちは、平均年収で100万円以上安いタクシードライバーの収入の事などは、どうでも良いと思っているのでしょうか？